「いつも言うけどさ?
終わらないくらいの仕事を無理して引き受けるのやめなよ。」

「だって、誰も手あげてくんないんだもん。」



夜8時。

お風呂やご飯などを済ませ、俺と陽菜は俺の部屋で生徒会の仕事を始めた。

俺はパンフレットの作成、陽菜はポスターの作成。

パンフレットって意外と大変だなぁ。

去年の先輩達はやっぱりすごい。


やっと半分まで来て一息ついていると、

となりから「やっとおわったーーー!」と大きな声。
陽菜は仕事がとても早い。

普通の人の2倍の速度でなんでもやってのける。

しかし……。


「疲れたーねむい……。」

疲れる速度は人の2倍なのだ。

「充電切れー」

そういうなり、猫のように俺の方へすりよってくる。

「お疲れ様。」

陽菜を軽くあしらい、俺はパンフレットづくりを再開する。



「終わったー!!」

ふと陽菜の姿を探すと、フローリングの上ですーすーと寝息をたてていた。

「ひなのやつ、こんな所で寝て……」

俺は陽菜を抱き上げると、自分のベッドにそっと寝かせた。

華奢な陽菜を抱き上げるのはいつから容易になったのだろうと少し考える。


小さい時から家が隣だったから、遊び疲れて寝てしまった陽菜を背負って送って行ったことも少なくない。

小学生のときなんかは背が同じくらいだったから大変だったなぁ。

でもいつのまにか俺の方が大きくなってたっけ。


すやすやと気持ちよさそうに眠る陽菜の肌は透き通るように白く、艶のある黒髪がベッドからこぼれおちている。

本当憎たらしいくらい。

「綺麗な顔、してんだよなぁ」