だめだめな完璧美少女

放課後、授業が終わってすぐ、俺は栗谷の教室へ走った。

「栗谷さん、いる??」

1学年上の先輩が来たからなのか、みんなこちらをチラチラ見るばかりで答えてくれない。

教室を見渡しても、いる気配がないし。

あきらめて帰ろうとした時、トイレから出てくる栗谷を発見した。

「栗谷!!話がある。」



空き教室。

「篠崎先輩、話ってなんですか。
昨日の話、幻滅したでしょう。
私は性格悪い人間なんです。」

栗谷はどこか自分を諦めているような表情で吐き捨てるように言った。

「返事、しに来た。
まず、昨日はごめん。俺もひなを傷つけられたことにカッとなって、栗谷の気持ちをないがしろにしてしまった。」

栗谷は何も言わない。

「返事だけど、俺は……」

肺いっぱいに息を吸い込んだ。

「ひなが、好きだから。
ごめん。」

俺は昨日、気づいてしまった。

栗谷に、陽菜のことが好きなのかと聞かれた時、
そんなわけないだろの言葉が出てこなかったのは、
それが図星だったからだと。

「ですよね。」

栗谷は俺に背を向けて教室から出ていこうとする。

「待って!!」

まだ、まだ。全部言えてない。

栗谷が立ち止まったことにほっとした。

「栗谷は自分が思ってるほど、性格悪いやつなんかじゃないと思う。
栗谷はたしかにたくさん嘘をついた……でも!
俺みたいになりたいって言ってくれたその気持ちは……嘘じゃなかったんじゃないか?」

「っ!!」

「生徒会に戻ろう、栗谷。
ひなが、お前と仕事がしたいって泣いてたぞ。
また大好きな灯里ちゃんと仕事がしたいって。」

「な、なんで……」

栗谷が膝から崩れ落ちた。

俺はびっくりして、とっさに駆け寄る。

彼女は、泣いていた。

ぼろぼろぼろぼろと涙を零し、泣いていた。

「陽菜先輩は……ずるいです……私陽菜先輩には到底勝てそうにありません……。
こんな私にも居場所を与えてくれるなんて、本当にずるいです……!!
私、戻っていいんでしょうか、戻りたいです……!」

「一緒に戻ろうか。」

俺はふらふらとする栗谷を支え、生徒会室へ向かった。



ドアの前で栗谷が立ち止まる。

「怖いです……篠崎先輩。」

「決めたことは突き通せ。
戻りたいんだろ?」

こくんと頷いた栗谷が深呼吸する。


ガラッ

一斉に振り返ったみんなの冷たい目に栗谷は萎縮したようだった。

ぎゅっと固く目をつぶり、泣くのを我慢しているようにも見えた。

俺が出ていって説明しなくちゃと思い、1歩踏み出そうとしたその時。