「文化祭の取り決めはこれで以上です。
立候補者が出なかった学校のパンフレットのデザインおよびコピーは私がやっておくのでみなさんは、
当日の仕事の流れの確認をよろしくお願いします。
ありがとうございました。」

「ありがとうございました。」



放課後の生徒会室。

この学校の生徒会は、生徒会長、副生徒会長兼会計監査、会計、書記、庶務2人の合計6人で活動している。

文化祭が近づいてきた最近は、毎日放課後にこうして会議が行われている。

「生徒会長、今日も超可愛くて、かっこよかったー!」

後輩達がそういうのもいつものことだ。

それもそのはず、生徒会長である瀬々良木陽菜(せせらぎひな)は、強いリーダーシップはもちろん、頭脳明晰、それに加えとても可憐で、温厚で、と
どこをとっても引けを取ることのない完璧美少女なのだ。

あいつのことなら聞いてないと思うけど、もし聞いてたら飛んで跳ねて大喜びだろうなー。

「ひな、帰るぞ。」

俺は書類をまとめている陽菜に声をかけた。

「はーい」

副生徒会長兼会計監査である俺、篠崎永遠(しのざきとわ)と、生徒会長の陽菜は幼稚園からの幼なじみだ。

同じアパートの隣に住んでいて、お互い一人暮らしをしているので、俺達は一緒にいる時間が長い。



「お待たせ!」

陽菜がこちらにかけてくる。

「瀬々良木会長と、篠崎副会長さようならー!!」

「うん、お疲れ様ー」

後輩達の元気な挨拶に見送られ、俺達は学校を出た。

帰路は、陽菜のくだらない話なんかを聞きながらそれなりに楽しく帰るので、アパートまではあっという間だ。



「ひな、着いたけど今日は別々に……うぉっ!」

陽菜が勢いよく抱きついてくる。

同い年の彼女でない女の子が抱きついてくるなんて、普通はおかしいだろう。

しかし、もう慣れ切ってしまった。

「ひな、外だから離れて。
とりあえず家の中入ろっか。」

俺は離れない陽菜をそのままに、無理やり自分の家に入って鍵を閉めた。


「ぜったいむりだよぉぉぉぉぉ、今日中になんておわるわけないーーーーーー」

陽菜は泣きじゃくる。

「俺が手伝うから大丈夫でしょ?」
「手伝ったっておわんないーーーー」

「おわるって大丈夫。落ち着けよ」



そう、この完璧美少女の正体は、泣き虫で心配性の弱い女の子なのだ。