「なぁ、アンタはどっからやって来たんだ?その身なりは日本だが・・・古いな。江戸時代より古い・・・そんな予感がする。」

上品すぎる着物から江戸という感じはしない。大学の資料で見たのとはちょっと違う。男のギャンブル生活で鍛えられた直感がそう告げる。

「えっ?江戸・・・?私は古河から来ました・・・。北条軍から追われていたら、変な光が見えて・・・いつの間にかここに来てました・・・。」

「えっ?北条?なに時代だろ?俺、歴史詳しくないからな〜。」

「あのっ・・・。ここは一体何処なんですか?日本なのです・・・か?」

女性は見知らぬところへ飛ばされたせいか恐怖で手が震えている。

「ここは日本だ。だけど、アンタがいた日本では無く、未来の日本だ。年号は平成な。」

「へいせ・・・い?永録では無いんですか?」

女性は混乱した様子である。いきなりよくわからない時代へ飛ばされて無理もない話だ。

「え、永録ってなぁに?俺ァ江戸時代より前の時代は分からねぇんだ。取り敢えずこれ食いなよ。」

女性は男から渡されたおにぎり(ツナマヨ)を手に取り、恐る恐る食べる。

「あ、美味しい・・・。私の知らない味・・・」

「そ、アンタの知らないツナマヨ入りだ。うめぇだろ?」

「あ、はい。とても・・・美味しいです。」

「まぁ、アンタの事は明日知り合いに聞いて相談してみる。取り敢えず今日のところは俺の家で寝・・・」

男が気付くと女性は既に座ったまま寝てた。

「寝るの早っ・・・。しょうがねぇな・・・。」

男は女性を優しく抱えてベッドに移した。