「Trick or Treat」


「え…っと、依亜さん?」


「Trick or Treat」


「…持ってないよ」


ため息をつきながら、手をぶらぶらさせる姿を見ると、着替えたときに荷物も持っていかれちゃったんだろう。


幸か不幸か。


「じゃあ、仕返しだよ」


そう言って、腕を引っ張り、キスをする。


「なっ!?」


「顔真っ赤…っ」


だって…っ、タコみたいに真っ赤なんだもん!


「はぁ…」


ぎゅーっと、離さないというようにきつく抱きしめられる。


背中に手を回すと、もっともっと強く抱きしめられる。


それがすごく嬉しいんだ。


「史音。来年もその先も、一緒にこうやって過ごそうね」


「ああ。いつかは俺たちの子どもも一緒に…な」











END