「それは…」

姫も言葉を失った。

「結は、俺に会いたくて、来なくていいって
言う俺の言葉を無視して大阪に来たらしい。
多分、繊維工場の障害対応してた週末だと
思う。
土曜に何件も着信があったのに、充電
切れて、気付いたのは、日曜の夜だった。
すぐに電話したら、結は泣いてて。
でも、寂しかっただけだって言うから、
俺はそれを鵜呑みにして、また結を1人に
したんだ。
俺が結に甘え過ぎてたんだよ。
結なら分かってくれるって、勝手に
思ってた。」

あの時、結が泣いてる理由をちゃんと聞いてたら、結果は違ってたのかな。

充電が切れる前に電話に出られてたら、今でも結は俺の傍にいたのかな。

こんな事を思うなんて、女々しいよな、俺。