残念な王子とお節介な姫

わがまま…


俺の頭にまた結の姿が蘇る。

聞いてやれなかった結のわがままの代わりに、姫のわがままを聞いてやろうか。

結、どう思う?

『うん、いいと思うよ。』

そうだよな。

結がそう言うから、

「俺が片付けてる間に、行きたい店決めろよ。」

と言った。

「え!?
えっと、あの、ちょっと待ってください。
今、考えますから。」

焦る姫があたふたする。

くすっ

かわいくて、思わず笑みが零れる。

俺は、片付け終えて聞いた。

「決まったか?」

「はい!
駅前のビルの最上階にちょっと大人な
雰囲気のバーがあるんです。
そこ、行ってみたいです。」

「へぇー
じゃあ、そこへ案内しろ。」

「はい!」

姫は、元気よく返事をして、俺をその店へ連れて行った。