目覚めると、辺りは真っ暗だった。

スマホを見ると、昨日、何度も結から着信が入っている。

なんだろう?
何かあった?

俺は、結に電話を掛けた。

『もしもし!』

結の元気な声が響く。

「結? 相変わらず、元気いいなぁ。
昨日、電話くれた?」

『うん。』

「ごめんな。充電切れで、今、気付いた。」

『今、どこ?』

「家。さっき、ようやく帰って来た。
久しぶりに二徹したよ。」

結に心配掛けたくなくて、最初の1週間、会社に泊まり込んだ事は、内緒にした。

『二徹? 仕事だったの?』

「うん。障害対応が終わらなくてさぁ。
どうしても、月曜には稼働させなきゃ
いけなかったから。
課長は残業付かないのに、酷いよな。」

『よかった…』

「ん、何が?」

『何でもない。』

結の声が、変だ。
鼻をすする音も聞こえる。

「何? 結、泣いてる?」

『泣いてないよ。』

「なんかあった?」

『ううん…』

「結?」

『大丈夫。
ちょっと、寂しかっただけ。』

「会いに行けなくてごめんな。
仕事が落ち着いたら、必ず、会いに行くから。」

『うん。待ってる。』

「じゃ、おやすみ。
結、愛してる。」

『っ! おやすみ…さい。』