「うち、トイレで指輪に気づいてんで!?
もっとちゃんと、ゆうてくれたら
よかったのに!!」

「ごめん、ごめん。
じゃあ、結婚やめる?」

「アホ!!
やめるわけないやん!!
もう絶対、返さへんで?
海翔が、やっぱやめた、ゆうても、
うち、もう絶対離れへんで?」

「奈々、当たり前だろ?
奈々がいくら逃げ出したくなっても、
俺が逃がさないよ。
奈々は、永遠に俺のお姫様だからね。
昔から、お姫様は王子と結婚するって
決まってるだろ?
ま、おっさんになった王子で
申し訳ないけど。」

俺が笑うと、奈々は首をブンブンと横に振った。

「海翔は、全然、おっさんやないよ。
今でも、ピカピカの王子様なんやから。」

「くくっ
ありがと。
じゃあ、俺は奈々だけの王子様な?」

奈々は、こくんと頷いて、俺に抱きついた。

俺は奈々を抱きしめて、奈々の頭を撫でる。