俺はそのまま、姫を抱きしめて、姫の温もりを感じていた。

そうして、しばらくしてから、

「奈々、顔を洗うついでに、お風呂行って
おいで。」

と言った。

奈々は、こくんと頷いて、浴室へ向かう。

それを見送って俺は、心底、ほっとする。

春山は、
「振られる心配はないから、安心して告れ。」
って言ってたけど、それでも、やっぱり緊張するし、不安はある。

姫が「はい」って言ってくれてよかった。



結…
結は、今、幸せだろうか。

出産予定日まで、あとひと月。

そろそろお腹も大きくなって来た頃だろう。

そんな結を支えてくれる奴はいるんだろうか。

神様、どうか、結が今、幸せでありますように…