俺は、悶々と姫が風呂から上がるのを待っていた。

しばらくして、姫が浴室から戻ってきた。

「お風呂、ありがとうございました。」

長いズボンを履いて、まだ濡れたままの髪で、肩にバスタオルを掛けている。

すっぴんの姫は、頬が餅のように柔らかそうで思わず触りたくなる。

「髪、乾かしてこれば良かったのに。」

俺が言うと、

「こっちで乾かしますから、
課長、お風呂どうぞ。」

待ってる俺に気を使ったのか。

「じゃあ、行ってくるから、ちゃんと髪、
乾かしておけよ?」

「はい。」

微笑んで返事をする姫は、やっぱりかわいい。

俺は、風呂に入りながら、考えるのは、姫の事ばかりだった。

『自覚しろよ。
そういうのを、『好き』っていうんだよ。』

はぁ…
春山の言う通りだよ。

俺は、きっと姫の事が好きなんだ。

いつからかは、分からないけど。