「結と寝てたベッドとか、
結が使ってた食器とか。
家具を全部買い換える訳にはいかないけど、
シーツとか食器くらいなら、姫の好きなのを
プレゼントしてくれたら、それに替えようかな
と思って…」

俺がそう言うと、姫は心配そうに俺を見た。

「ええんですか?
結さんの思い出、残しときたいんと
ちゃいます?
無理せんでええんですよ?」

姫の優しさに俺はきゅんときた。

「もういいんだよ。
結を忘れた訳じゃないけど、もう思い出
だから。
今、大切なのは結じゃないから。」

俺がそう言うと、姫は、一瞬、泣きそうな顔をしたかと思うと、嬉しそうに笑った。

「なら、明日、一緒に見に行きましょ?
課長の部屋なんやから、うち1人で選ぶより、
課長と選んだ方がええですから。」

俺は頷いて、姫と俺の部屋へ帰った。