それから、またしばらく飲んでいると、姫がうつらうつらと揺れ始めた。

「姫、大丈夫か?
もう帰る? 送って行こうか?」

俺が声を掛けると、

「大丈夫です。
楽しくて、ちょっと飲みすぎてしまいました。」

と、姫はとろんとした目で笑って、そのまま俺の肩にこてんと頭を預けてきた。

かわいい!

かわいいけど…

向かいの席で春山がニヤニヤと見ている。

俺は、にやけそうになる頬を締め直して、姫を揺すった。

「姫、帰ろ? 送ってくから。」

「はい。」

姫は返事をしたものの、立てなくて、そのままへたり込んでしまった。

「タクシー呼ぶかな。」

俺が言うと、

「もう寝かせてやれよ。
朝、送ってけばいいだろ。」

と春山が言う。

「寝かせるって、どこに?」

「そんなのベッドに決まってるだろ。
女の子だぞ。」