またしばらく飲んで、程よく酔いが回ってきた頃、春山が言った。

「俺、姫ちゃんの隣がいい。
宮本、席、代われ。」

「は?
やだよ。」

「なんで? いいじゃん。」

「ダメ。」

「なんで?
姫ちゃんは別にお前のものじゃないだろ。」

「俺のじゃないけど、ダメ。」

「だから、なんで?」

「姫の隣は俺の席なの。
お前にはピアニストの綺麗な奥さんが
いるじゃん。」

俺がそう言うと、春山はニヤニヤと笑った。

「そうか。
姫ちゃんの隣は、宮本しか座っちゃだめ
なんだな。
姫ちゃん、こんな奴で申し訳ないけど、
よろしくね。」

姫は、真っ赤な顔をして、こくりと頷いた。

俺、もしかして、今、変な事言った?