「姫は、どうする?
俺のでよければ、着替え、貸すけど。」

「うちは、このエプロンで大丈夫です。
着替えたら、気ぃが緩んで、飲みすぎて
しまいそうやから。」

姫はそう言って笑った。


俺と春山は向かい合わせで座り、俺の隣に姫が座った。

向かい合わせで座るいつもの週末より、距離が近い事に多少の違和感を覚えて、ドキドキする。

俺たちが取り止めのない話をしながら、酒を飲んでいると、

「姫ちゃんは、好きな人いないの?」

突然、春山がぶっこんできた。

「えっ!?」

「あっ!!」

戸惑う姫の横で、動揺した俺は、ワイングラスを倒してしまった。

「あっ! 姫、ごめん。」

零れたワインが姫のスカートを濡らしていく。

慌ててそばにあったティッシュで押さえるが、すでにしっかり浸み込んでいる。

「姫、ごめん。」

と謝って姫を見ると、姫が真っ赤になって固まっていた。