まあ、そこそこ美人の部類に入るだろう。

でも、姫の方が美人だ。

「いえ、人を待ってますから。」

俺はいつも通り、断った。

「じゃあ、相手の方がいらってしゃるまで、
一緒におしゃべりしてても構いませんか?」

女性は、なおも食い下がる。

肉食女子だな。

俺はこういう女は苦手だ。

「いえ、話す事はありませんから。」

俺がそう言うと、

「彼女、いらっしゃるんですか?」

と聞いてきた。

「………あなたには関係ないと思いますが。」

女性と話しているうちに、次の電車が来た。

俺は人混みの中に、姫を見つけた。

「姫!」

俺は、嬉しくなって、大きく手を振った。

姫は改札を抜けると、小走りに駆け寄って来た。

「迎えに来てくださって、
ありがとうございます。」

姫がぺこりと頭を下げる。

かわいい。