「いただきます。」
「いただきます。」

俺たちは手を合わせて、フルーツタルトを食べた。

タルトは美味しいのに、そこに流れる空気は微妙なまま。

姫のいつもの明るい声が聞こえないから、俺もどうしていいか分からない。

俺は意を決して、俺から話を振った。

「姫、明日、簡単な料理を作るって言ってた
けど、何を作るんだ?」

すると、姫も顔を上げて、

「さあ? 課長は何を食べたいですか?」

と言った。

「何でもいいよ。
っていうか、俺でも作れる料理ってあるのか?」

「じゃあ、とりあえず、おかずはお惣菜に
して、ご飯と味噌汁から始めませんか?」

「そうか。そうだな。
なんか、料理の基本って気がするな。」

俺がそう言うと、姫は楽しそうに笑った。