「もう、気にするな。
おっさんに手を繋がれたって、男の頭数には
入らないだろ。
そういうのは、もっと若くていい男に出会う
まで取っとけよ。」

「うちかて、おっさんなら、気にしません。
でも、王子に手を繋がれたら、気にして
当たり前でしょ。」

「30過ぎたおっさんでも、王子なのか?
姫の年代から見たら、明らかに対象外だろ?」

「………それ、逆なんとちゃいます?」

「逆?」

「うちから見て、課長が対象外なんやなくて、
課長から見て、うちみたいな小娘は対象外
なんやないですか?」

姫は顔を上げて、まっすぐ俺を見た。

取り繕ってもしょうがない。

「そうだな。
俺は、姫がっていうより、結以外の女全部が
対象外なんだ。
だから、姫も俺を男だと思うな。」

俺は、正直に言った。