残念な王子とお節介な姫

「姫?」

姫は、ひとりで先に歩こうとする。

俺は思わず、もう一度、 姫の腕を掴んだ。

「姫! 言いたい事があるなら、ちゃんと言え。
俺は、お前の気持ちを察してやれるほど器用
じゃないんだ。
俺は何か気に障ることしたか?」

「手…」

「て?」

姫は、俯いて、ぼそっと言った。

「手ぇ、繋いだやないですか。
うち、元カレ以外と手繋ぐの、初めて
やったから。」

ああ!!
そういう事か。

くくっ
かわいいなぁ。

「で?
意識して、喋れなくなった?」

「!!
そんな事、聞かんといてください!」

姫は、またそっぽを向いた。

ほんと、かわいい奴。

「悪かった。
俺は幼稚園の先生気分だったけど、
そうだよな、姫も女の子だもんな。」

俺は姫の頭を撫でてやった。