残念な王子とお節介な姫

「いいですよ。
課長のために作った料理、うちが食べたら、
悪いやないですか。」

「大丈夫。
結はそんな事で文句言う奴じゃないから。
ほら、今日だけ特別、ほうれん草も付けて
やる。」

俺は、蓋の上に、ほうれん草のお浸しも乗せた。

姫は、俺の顔とおかずを交互に見比べた後、指でほうれん草を摘んで口に入れた。

「ん!? 何これ!?
めっちゃ、おいしい!!」

「だろ? ほら、玉子焼きも食え。」

姫は上を向いて、摘んだ玉子焼きを口に入れる。

「ぅわっ!! なんで?
これ、玉子焼きやのうて、だし巻きやん。
めっちゃ、おいしい!」

結の料理を褒められて、俺は嬉しくなった。

「よかったら、晩飯、食いに来るか?」

「え!?」