・:*:・:・:・:*:・

金曜日。

私たちは19時に1階ロビーで待ち合わせる事にした。

桐生さんは、一本(いちほん)まで迎えに来てくれるって言ってくれたが、丁重にお断りした。

天くんに見られたら、また面倒くさい事になるに決まってる。


私は5分前に仕事を終えて、1階へと下りた。

ロビーには、既に桐生さんがいた。

「お待たせしました。」

私が言うと、

「いえ、俺も今、来たところですから。」

と桐生さんは微笑んだ。

この人、ほんとに優しそうに笑うなぁ。

「じゃあ、行きましょうか。」

私は、桐生さんに従って並んで歩く。

「桐生さんは、音楽、好きなんですか?」

私が聞くと、

「はい。
中・高と吹奏楽をやってたので。」

と答えた。

「そうなんですか!?
私もやってました!
楽器はなんだったんですか?」

「サックスです。
テナーサックス。」