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春山仁の恋

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俺は高校1年の時、ピアノの全国大会に出場した。

俺は、小学生の頃からコンクールの常連だったから、特に気負う事もなく、のんびりと俺たちの前に行われている中学生部門の演奏を聴いていた。

そんな時、ラベンダー色のドレスを纏った綺麗な子がステージに上がった。

演奏前、彼女は大きく深呼吸する。

その静寂は、一瞬、時が止まったと勘違いさせるほどのオーラを放っていた。



リスト『ため息』



彼女の繊細な音色に魅了される。

中学生がこれを弾けるのか！？

俺なんか足元にも及ばない才能だと思った。

演奏終了後、俺はコンクールにも拘らず、スタンディングオベーションをしていた。

こんな事は初めてだ。