「よくない。
そんなのあいつの思う壺だろ。
あいつは、絆のことなんて呼んでるんだよ。」

「………絆さん。」

「は?
なんでそんな呼び方許すんだよ。」

「別に呼び方くらいいいじゃない。
章吾さんがクリスマスプレゼントのお礼は
名前で呼ばせてくれればいいって
言ったんだもん。」

私がそう言った瞬間に海翔くんは頭を抱えた。

「あいつ、あんなに人の良さそうな温厚そうな
顔しておいて、ほんとに策士だな。」

「なんでよ。
章吾さん、いい人だよ?」

「もういい。
絆、今後一切、桐生とは関わるな。
会う時は、保護者同伴だ。」

「は!?
何それ!?
もう子供じゃないんだから、やめてよ。」

「子供だよ。
そんな見え透いた罠に引っかかるなんて。
ほっといたら、絆みたいな世間知らず、
あっという間に取り込まれて
結婚させられるぞ。」