私たちは、寄り添って歩いて参拝を済ませる。

幸せな結婚ができますように…

仁くんと…とは、言えない。

それでも、今、こうして仁くんと一緒にいる事は、幸せだと感じてしまう。

このまま、流されてしまいそうになる。

だから、もう少し、もう少しだけ、この幸せに浸らせて。

もう少ししたら、ちゃんとお断りするから。


帰りは参道で屋台やお店を見ながら歩く。

「絆、何か食べたい物ある?」

仁くんがお店を覗きながら、私に聞く。

「私はいつでも食べられるから、
何でもいいよ。
仁くんは、何、食べたい?
きしめん? ひつまぶし?」

「んー、じゃあ、ひつまぶし!」

「うん。じゃあ、ひつまぶし、食べよ。」

私たちは、ひつまぶしで有名なお店に向かう。

さすがに初詣客で行列ができている。

私たちは最後尾に並んだ。