【完】クール男子と極甘シェアハウス




暖かい電車の中にいても柊くんの貸してくれた上着から温もりをずっと感じていた。



あんなところで会うのもびっくりだし、こんな優しさに触れるのも初めてでどうしたらいいのか分からないよ。



誰かこの心臓の高鳴りをとめてよ...。



最寄り駅で降りて家に帰る道でも私達は一言も発さなかった。



家に帰ったら質問責めにされるんだろうな...。



最初は裏口から出た私だけど柊くんはためらいなく正面玄関から入ったので私も従う。



お母さん達は起きてこなくてひと安心。



そして柊くんはリビングの明かりをつけ、私のほうを振り返った。



「色々と聞きたいことはあるけど、話しづらいだろうからまず俺から話す」



これって一応、配慮されてる?



「俺はクラスの親睦会が長引いてさらに友達の家で遊んでたらあんな時間になった。友達ん家があの駅の近くだからな」



そうだったんだ...。



春恵さんも遅くなるって分かってたみたいだし、あらかじめ連絡してあったんだろうな。