【完】クール男子と極甘シェアハウス




電車に乗って2駅という距離。



めっちゃ近いってわけでもないけど、めっちゃ遠いってわけでもない。



程よい距離だと思ってるんだけどね、私は。



目立たないところにあるからうちの学校の人達も滅多に来ないし。



20時過ぎに帰宅。



玄関のドアを開けるとリビングの明かりがついているのが分かった。



お母さんは寝ているはずだから起きているとしたら柊くんか春恵さんくらいかなぁ。



「ただいま~」



そう言って入るといい匂いが漂ってきた。



「おかえり、亜美ちゃん。ご飯できてるから食べてね」



キッチンに立っていたのはエプロン姿の春恵さんだった。



テーブルには作り立てのおいしそうなシチューが置いてあった。



「もしかして私のために...?」



「当たり前でしょう?こんな時間まで働いて、ご苦労様。ゆっくり休んでね」



この人はなんでこんなにも温かいんだろう...。



思わず縋り付きたくなるような優しさに満ち溢れている。