今の太一は触れたら壊れてしまいそうなくらい脆い。



いつもなら手を伸ばせば届いたのに、今は手を伸ばしても届かないくらい遠く感じる。



「ねぇ太一....私って本当に馬鹿だよね」



目の前に傷ついてる太一がいるのに、私には何もしてあげられない。



小さい時から想い続けてきてくれた太一の手を私はどうして取れないんだろう。



なんで私は優夜くんじゃなきゃ駄目なんだろう。



「.....そうだな。お前は馬鹿だよ。昔から、な」



何年も一緒にいて太一の想いを無視し続けてきた私は馬鹿で最低だ。



誰かこんな私を最低だって言って殴ってほしい。



「そろそろ....帰るか?」



その太一の問いかけに私は頷くしかできなかった。



何度も一緒に帰っているはずの太一との帰り道は、どこか違った雰囲気に包まれていた。