「母さんがお見舞いに行けってうるさくてさ。自分が行けないからって」
「そうなんだ...」
確かに優夜くんの手には小さな花束が握られていた。
きっとあの花も春恵さんが優夜くんに手渡したんだろうな。
私のお見舞いにって。
「この花はそこの花瓶にいけておくから」
病室って必ず花瓶があるよね。
お見舞いに来る人がお花を持ってくるって分かってるから7かな。
優夜くんがお花を飾ると病室に爽やかな香りが広がった。
すごくいい香りで心が癒される。
さすが春恵さん、お花のセンスもいいよね。
「千佳さんと話せた?」
「...うん。たくさん話せたよ」
きっと優夜くんにはもう色んなことがバレてるんだろうな。



