【完】クール男子と極甘シェアハウス




「時間とらせて悪かったな。明日からも普通に接してくれよな!」



太一はそう言って手を振って去っていった。



去っていく背中が寂しく感じたのは、間違いなんかじゃないはず。



私が呼び止めるべきだった。



だけど、できなかったんだ...。



太一って呼ぼうとしても、声が出なかった。



まるで呼び止めるのはやめとけって誰かに言われたみたいに。



しばらく立ち尽くしていた。



スマホの音で画面を開いて時間を見るとギリギリなことに気づいた。



色々、考えていたけどバイトに遅刻するわけにもいかないので中庭を後にした。



胸中は複雑なまま。



頭も全然整理できていないし、心も整理できてなくてぐちゃぐちゃ。



もうどうしたらいいか分からないよ。