「名前」
柊くんは迷うことなく、端的にそう告げた。
「えっ、ま、まって...、名前って...」
唐突すぎて噛みまくる始末だし、もう最悪。
「噛みすぎだから。そんなに驚くこと?」
そう言う柊くんはどこか楽しそう。
もしかして柊くんって案外、Sなところもある感じですか?
「む、無理だよ。名前で呼ぶなんて...」
他の男の子でも無理なことを柊くんに対してなんて絶対、無理だから!
好きな人を名前で呼ぶなんてどれだけ緊張することか!
今夜、2人きりっていうことにも緊張してるのに名前で呼ぶとか無理ですから。
完全にキャパオーバー。
頭がパンクするのも時間の問題だと思う。



