「出発するぞ。辛かったら遠慮せず言えよ」
そう言って柊くんは歩き出した。
放課後の遅い時間だからか、あまり生徒は残っていなかった。
見られなくて済むと思うとホッとした。
みんながいる中でこんな状態で通り抜けていくのは、本当公開処刑に近いと思う。
「大丈夫か?」
「うん。私のせいでこんなことになっちゃってごめんね」
「別に構わないから気にするな」
私に負担がかからないようにゆっくり歩いてくれてるのも分かってるよ。
何気ない柊くんの優しさをたくさん感じてる。
柊くんの背中は温かくて少し寄り添うように顔をうずめた。
胸がポカポカしてドキドキと高鳴って感じたことのないような感情がこみ上げてくる。
唐突に思った。
これが恋心なんだって。
私は柊くんが好きなんだ...。