「亜美、そろそろ出るわよ~」



「はーい」



メイクも軽くしたし、自慢のストレートが活きるようにアイロンもした。



最後に鏡の前で全身をチェックしておかしいところがないか確かめる。



...大丈夫だよね。



お母さんの娘として恥ずかしくないようにしないとね。



これから一緒に住むとはいえ第一印象は大事だからね。



ほとんど家具や服がなくなってスッキリした部屋を見てどこか寂しくなる。



いよいよ引っ越すんだという自覚が今更ながらわいてきたのかもしれない。



もうこの家に帰ってくることは二度とない。



アパートの単なる一室にすぎないけどやっぱり寂しくはなるよね。



だって6歳の時からずっと暮らしてきた部屋だもん。



“今までありがとう。次に使う人も良い人でありますように”