家庭訪問は恋の始まり

瀬崎さん宅に到着したが、ドアを開けられない私は、瀬崎さんが開けてくれるのを待った。

「どうぞ。」

「あ、ありがとうございます。」

車から降りようとしたら、瀬崎さんが手を差し伸べてくれた。

これって、掴まれって事だよね?

こんな事、された事ないから、どうしていいのか分からない。

私はおずおずと瀬崎さんの手に自分の手を重ねた。

だけど、瀬崎さんは、私が車を降りても手を握ったまま。

これって、どうすればいいの?

振りほどくのは失礼だよね?

だけど、児童の保護者と手を繋いだ状態って、アウトな気もするし。

結局、私はどうすることも出来ずに、玄関まで手を繋いだまま来てしまった。

「すみません。
帰ったばかりで暑いですが、どうぞ。」

そう言うと、瀬崎さんは、ようやく手を離して、灯りを点けたり、エアコンを入れたりした。