「今日、ですか?
時間はありますが、今日は飲むつもりで
木村先生に乗せて来てもらったので、
足がないんです。」

「よろしければ、私がお送りしますよ。
10時には上がれますから、それまで
ワインでも飲んで、待ってていただけ
ませんか?」

「はい…
構いませんけど… 」

「ありがとうございます。
では、また後ほど。
ごゆっくりお過ごしください。」

瀬崎さんは一礼して下がっていく。

それを見送りながら、私はなんだかうきうきしていた。

だけど、武先生は、逆に不機嫌そうだった。


「武先生?
どうかされました?」

私が声を掛けると、武先生はいつもの優しい武先生だ。

「瀬崎さんの奥様もADHDらしいって
言ってたよね?
だけど、お父さんは、随分、落ち着いてない?」