こういう時、どう言えばいいの?

「そうなの? パパ。」

嘉人くんは、今度はお父さんを見つめる。

「うーん、そうだなぁ。
ママは思い出の中の特別枠だからなぁ。
忘れるとか忘れないとかじゃないかなぁ。
嘉人だって、まだママの事、好きだろ?」

「でも、パパの方が好きだよ?」

「そうか。ありがとな。
ま、とにかく、先生にも好みがあるし、
何より、もう先生にはカッコいい恋人がいる
かもしれないだろ?」

え!?
矛先がこっちに向いた?

「そうなの? 先生。」

「あ、いえ、そういう人はいないけど…」

どうしよう?

「パパ、よかったね。いないって。」

ああ、もう、嘉人くん、なんでこんなに素直なの!?

「くくっ
分かった、分かった。
嘉人は、先生の事が大好きなんだな。」

「うん!」

お父さんが苦笑する。