家庭訪問は恋の始まり

私は、嘉人さんに説明する。

「じゃあ、内緒にする。
先生がうちでご飯を食べたって言わなきゃ
いいんでしょ?」

「いや、そういう訳じゃ…」

私は困った。

なんて言えば、納得してくれるんだろう。

「嘉人、先生を困らせるんじゃない。
男は女を守るものであって、
困らせるものじゃない。」

お父さんが嘉人くんをたしなめる。

「先生、すみません。
俺が迂闊にお誘いしたばかりに…」

「いえ… 」

お父さんに真っ直ぐに見つめられ、どうしていいか分からない私は、視線を彷徨わせる。

なんだろう?

自宅だから?

学校でお会いした時は、温厚で柔和なイメージだったのに、今日はなんだか男くさい。

「本題に入りましょうか。
さっき嘉人から聞きました。
学校でブランコに乗ってる友達を押して
ケガをさせたそうですが、その件ですか?」

お父さんが尋ねる。