私はその場にいる子供達に声を掛ける。

「この中で、礼央さんがけがをするところを
見た子、いる?」

すると、何人かが、
「私、見た!」
「私も見た!」
と声を上げた。

「何があったのか、先生に教えて。」

「あのね、礼央さん、ブランコに乗ってたの。」

「うん。でね、嘉人さんがね、横からドン!
ってしてね、」

ドンって、何?

「嘉人さんが、ドンって、どうしたの?」

「押したの!
そしたらね、礼央さんが、ブランコから
落ちてね、地面でゴンってなってね、」

ゴンって…

「地面に頭をぶつけたって事?」

「うん。
そしたら、礼央さんが泣いてね、血が出てね、
そばにいた5年生のサキさんがね、
礼央さんを抱っこしてね、連れてきたの。」

状況は何となく、分かった。

「それで、嘉人さんは?」