えっ!?
これ、恥ずかしすぎる。


私は慌てて降りようとするけど、瀬崎さんの両腕が腰に回されて、逃げられない。

「夕凪、必ず幸せにする。
だから、ずっとそばにいて。」

瀬崎さんが耳元で囁く。

嬉しい…

私は降りるのをやめて、体を預けて答える。

「うん。
じゃあ、瀬崎さんは、私が幸せにする。」

その直後、ぎゅっと抱きしめられた。

「嬉しいよ。
だけど、違うだろ。」

違う? 何が?

私が首を傾げると、

「瀬崎さんじゃないだろ。」

と指摘された。

ふふっ
そこ、こだわる?

「はい。
ゆっくんは、私が幸せにします。」




その翌週から、私は金、土とゆっくん家に泊まる事になった。

東京の採用試験の願書を出し、結婚式の準備をし、合間に料理を習い、嘉人くんの宿題を見る。

宿題をやらずに遊びたがる嘉人くんのやる気を引き出すため、向かい合って一緒に漢字ドリルをやったりする。