私が、返事もできずにコクリと頷くと、

「夕凪先生、緊張してるの?
なんで?」

と嘉人くんの明るい声がかかる。

思わず、私は微笑んで、

「大丈夫。
嘉人さんのおじいさんとおばあさんに初めて
会うから、仲良くなれるかなって思っただけ
だから。」

と嘉人くんに答える。

「大丈夫だよ。
おじいちゃんもおばあちゃんも優しいもん。」

「ふふっ
そうだよね。ありがとう。」

私は、空いている手で嘉人くんの手を握った。

3人が手を繋いで横並びで歩けるなんて、廊下広すぎでしょ。

ある部屋の前で、瀬崎さんが足を止める。

「俺。入るよ。」

瀬崎さんが襖を開けると、ご両親らしき2人が座卓の角を挟んで直角に並んで顔を突き合わせている。

「おじいちゃん、おばあちゃん、こんにちは。」

嘉人くんは、気持ちのいい挨拶をする。

「あら、よしくん、いらっしゃい。」

おばあさんが返事をする。