そして、その意味を理解した瞬間に、飛び上がった嘉人くんは、そのままソファーの背もたれを乗り越えてきた。

「先生、僕のママになるの?」

嘉人くんは、私のすぐ目の前に立って聞く。

私は、ずっと考えてた事を話す。

「先生ね、嘉人さんのママは、嘉人さんを
産んでくれたママ1人だと思うんだ。
だから、もし、嘉人さんがいいよって言って
くれるなら、先生は嘉人さんのお母さんに
なろうと思うの。
どうかな?」

呼び方だけの違いだけど、嘉人くんのママの座を私が奪うような事はしたくない。

「ママは、出てったママで、
夕凪先生はお母さんって呼べばいいの?」

「うん。
もし、嘉人さんが、それでいいなら。
先生、嘉人さんのお家に一緒に住んでも
いい?」

「うん!!
先生、ありがとう!!
やったぁ!!」

嘉人くんは、小躍りして部屋の中を跳ね回る。