7時過ぎ、瀬崎さんがやってきた。

「夕凪、お疲れ様。」

「瀬崎さんもお疲れ様です。」

約束の終業式。

意識してしまう私は、どこかぎこちない。

「今、嘉人に会いに実家に寄ってきたん
だけど、泣き疲れて寝てたよ。」

「えっ?」

そんなに泣いたの?

「くくっ
今日は、それはそれは、大変だったらしい。」

「そうなの?」

「うん。
母の話では、帰るなり、
『夕凪先生が、夕凪先生が、』
って泣き喚いて、暴れたらしいよ。」

それは、嬉しいような、困ったような…

「母親が出てった時もこんなに泣かなかった
し、暴れるなんて事なかったのに。
夕凪は、母親より特別な存在なのかも
しれないな。」

瀬崎さんは、私の肩を抱き寄せる。

「嘉人の担任じゃなくなった夕凪に改めて
言わせて。
夕凪、愛してる。結婚しよう。」