「武先生は、絶対、ストーカーじゃないよ。
あれから、気をつけてるけど、私の車の後を
ついてくる車なんてないし、大体、武先生は
そんな人じゃないもん。」

私がそう言うと、一瞬、沈黙が流れた。

『夕凪は、随分、そいつを信用してるんだな。
ほんとは、好きなんじゃないのか?』

「は!?」

呆れて物も言えない。

「なんでそうなるの?
もし武先生が好きなら、今日みたいな面倒な
事になる前に、武先生と付き合ってるよ。
どんなに面倒で大変でも譲れないものが
あるから、こんなに苦労してるんでしょ?」

これって、もしかして、ヤキモチ?

『ごめん…』

瀬崎さんは、小さな声でボソッと謝った。

「ううん、気にしないで。
私も、瀬崎さんの気持ちを考えないで、
いいすぎたよね。
ごめんなさい。」