家庭訪問は恋の始まり

「木村先生、ちょっと校長室まで来て
いただけませんか?」

武先生は、私をチラッと見やってから、

「はい!」

と返事をして、校長室へと入っていった。

それから私は、深呼吸をして、自分を落ち着かせる。

こんな事で動揺を見せるなんて、それこそ教師失格だ。

私は、給湯室でコーヒーを入れて、席に戻る。

コーヒーの香りが私を少し落ち着かせてくれる。

私は、普段後回しにしている学年通信を作ろうとパソコンを立ち上げた。

が、起動後すぐに木村先生に呼ばれた。

「夕凪先生、ちょっと。」

私は慌てて校長室へ向かう。


校長室の入り口で武先生は、

「俺の言うことに合わせて。」

と囁いた。

どういうこと?

私が校長室に入ると、校長が口を開いた。

「今、木村先生から聞いたんだが、神山先生は
木村先生と結婚を前提とした関係だというのは
本当ですか?」

えっ!?

私は思わず、振り返って武先生を見た。

武先生は、私を見て、穏やかに頷いた。