家庭訪問は恋の始まり

母は、一瞬怯んだように私を見た。

「そう。
嘉人くんは、叩かれた事あるの?」

「お母さん!!」

私は慌てて止める。
子供に、そんな辛い過去を思い出させなくても。

「あるよ。
ママは、怒るたびに叩いたもん。
僕が怒られる事するからダメなんだけどさ。」

嘉人くんは事もなげに言う。

「みぃちゃんは嘉人くんと遊んでて、
楽しかった?」

母は、今度は美晴に聞く。

「うん、楽しかった!
嘉人くんね、かけっこ1番なんだって。
縄跳びも上手なんだって。
後で、一緒に縄跳び、していい?」

「じゃあ、おやつ食べたら、縄跳びしようか。」

私が言うと、

「やったぁ!」

と子供たちは、嬉しそうにクッキーを頬張る。

「え、でも、外はもう薄暗いよ。」

瀬崎さんが心配そうに言う。

「大丈夫。土間でさせるから。」