家庭訪問は恋の始まり

「はいはい、分かったから。
誠治、子供たちを呼んで来てちょうだい。」

と母は兄に依頼し、兄は立ち上がった。

「息子さんは、夕凪との関係は知ってるの?」

「いえ、知りません。」

「そう、分かったわ。」

母は、瀬崎さんに確認して、子供たちを待った。

パタパタと階段を駆け下りる足音が聞こえて、すぐに美晴と嘉人くんが入ってきた。

「ばぁば、なあに?」

美晴がニコニコと尋ねる。

「そろそろ、おやつでもどうかな
と思ってね。」

母がそう言うと、子供2人は顔を見合わせて、

「やったあ!」

と声を上げた。

「夕凪、台所から、適当におやつと飲み物を
持っておいで。」

母に言われて、私は嘉人くんを残して席を立つ事に不安を覚えながらも、渋々台所へと向かった。

私が、あり合わせのクッキーとジュースを持っていくと、美晴と嘉人くんは仲良く並んで座っていた。