家庭訪問は恋の始まり

「つまり、この春から7年はこっちの学校に
勤務するって事?」

私は、母をチラリと見て、ひとつ大きく息を吸う。

「帰る前に話そうと思ってたんだけど、私、
拠点勤務地、変えたの。
春になっても今の学校の近隣の学校に異動に
なると思う。」

すると、今度は母が大きなため息を吐いた。

「瀬崎さん、息子さんと少しお話させて
いただいてもいいかしら。」

「お母さん! 嘉人くんに何を言う気?」

母は、焦る私を一瞥すると、

「何も言わないわよ。
もしかしたら孫になるかもしれない子と、
少しおしゃべりしてみたいだけ。
私は、発達障害ってどんなものなのかも
よく分からないし、美晴と同じようにうまく
やっていけるのか、不安なの。」

「そういう先入観で見るのはやめて。
嘉人くんは、良い子ではないかもしれないけど、
いい子よ。
それは、担任の私が保証する。」