家庭訪問は恋の始まり

「そうですか。
離婚なさってるそうですが、いつ、離婚された
んですか?」

「ちょっと、お母さん!! 失礼でしょ!?」

私は慌てて、割って入る。

「いや、いいんだよ。」

瀬崎さんは私を手で制して、

「去年の7月です。」

と答えた。

「それは、ほんの半年前という事ですか?」

今度は兄から落ち着いた声で質問が飛ぶ。

「はい。」

瀬崎さんも落ち着いた様子で答える。

「離婚の原因は?」

「ちょっと、兄さん!!」

私は止めようとするが、兄は聞いてはくれない。

「夕凪は黙ってろ! 大事な事だろ。
もし、原因が浮気や暴力だったら、どうする!?
お前と一緒になってから同じ失敗を
繰り返さない保証はないんだぞ?」

「大丈夫だから。」

瀬崎さんは、私に微笑む。

「私も人の親です。
夕凪さんを心配する気持ちは、分かります。
遠慮なくなんでも聞いてください。」

瀬崎さんは、そう前置いて続ける。