家庭訪問は恋の始まり

すると、母は、落ち着いた声で美晴に言った。

「みぃちゃん、お願いがあるの。
その嘉人さんのパパに下に下りてきて
くださいって言ってきてくれる?」

「いいよ!」

美晴は元気よく返事をする。

「でね、みぃちゃんは、そのまま嘉人さんと
お二階でしばらくの間、仲良く遊んでて
くれるかな。」

「うん、分かったぁ。」

美晴は元気よく階段を駆け上がり、入れ替わって瀬崎さんが下りてきた。

「お呼び立てしてすみません。
どうぞお座りください。」

と母は座布団を差し出す。

瀬崎さんがそこへ座ると、母の尋問が始まった。

「いえね、夕凪とどういった関係なのか、
お伺いしたいと思いましてね。
夕凪もいい歳なので、親が色恋の事でどうこう
言うものでもないのは、重々承知してるん
ですけど、やはりそれでも、娘が後ろ指
差されるような男性とは付き合って欲しく
ないというのが、親心というものでね。」