家庭訪問は恋の始まり

口を尖らせた嘉人くんに、私は追い討ちをかける。

「じゃあ、先生も無理かなぁ。
嘉人さん、いい子になるって言ったのになぁ。」

嘉人くんは、困った顔で瀬崎さんを見る。

「嘉人ならできるんじゃないか?
嘉人、いつも、『ええ〜!?』って言うけど、
最後にはちゃんとやるだろ。
だったら、『ええ〜!?』って言わずにやれば、
夕凪先生がママになってくれるかも
しれないんだぞ?
簡単な事だろ?」

瀬崎さんに言われて、嘉人くんは目を輝かせる。

「うん!!
僕、もう、『ええ〜!?』って言わない。
だから、夕凪先生、ママになってね。」

うっ…
どうしよう。

「じゃあ、嘉人が本当に『はい!』っていい
お返事ができるようになったかどうか、夕凪
先生に春まで見ててもらおうな。
夕凪先生が、嘉人が、いい子になったなぁと
思ったら、お嫁に来てもらおう。」

「うん!!
夕凪先生、約束だよ?」

うぅ…
約束はできないよねぇ。