家庭訪問は恋の始まり

「せ、瀬崎さん!」

私は声を潜めて、抗議するけど、瀬崎さんは意に介さず、腕を緩める気配は全くない。

はぁ…

私も、決して瀬崎さんに触れられるのが嫌な訳じゃない。

子供に見られたら…と思うから、ダメだと思うだけで。

だから、私は早々に白旗を揚げた。

だって、本心は私だってこうして瀬崎さんと一緒にいたいんだから。


だけど、しばらくして美晴が、

「できた!」

と声を上げた。

と同時に瀬崎さんの手が離れる。

「これ、誰?」

嘉人くんが、美晴の絵を覗き込んで尋ねる。

「ゆうちゃん!」

美晴は、私に絵を見せてくれた。

それは、お目々キラキラの女の子がウェディングドレスを着て、頭にティアラを乗せている絵だった。

「夕凪先生のお嫁さんの絵?」

嘉人くんが聞いた。

「うん。
ゆうちゃん、お嫁さんになるんだって。」

美晴が爆弾を落とす。